2025年度(令和7年度)報告

・ 研究実績の概要

(1)"Accountable Voting"と題していた論文(以下第1論文とする)は国際学会The 14th Conference on Economic Designに採択されて報告した。国内でも慶應義塾大学、京都大学に招待されて報告した。この論文では、これまで、既存研究とはまったく異なる新しい枠組みを作ったということを強調してきたが、投票者と投票結果を受け取る側が同じ集合である Peer problemsについては多数の既存文献があるので、それらとの関係を丁寧に調べることにした。その結果、既存文献のモデルを我々のモデルに拡張すれば我々の不可能性定理が当てはまることがわかった。またこの研究過程で、この論文は社会的選択理論とネットワーク理論をつなぐものであることもわかった。このように新たな知見が増えたので、論文タイトルも"Assessment Aggregation under Conflict of Interest"と変更し、より一般の経済学者向けにしてトップジャーナルに投稿した。

(2)本課題開始後に着手した論文(以下第2論文とする)にも進展があり、この分野で最も権威のあるSocial Choice and Welfare Conference 2026の論文報告に応募して採択された。この論文ではボルダルールおよび単記投票ルールを利害関係が存在する環境で考えた新たな公理を導入して特徴付けを行った。その研究過程で、ボルダルールの公理化は既存の公理を拡張すれば可能であることがわかった。これに対し、単記投票ルールは、第1論文で新たに作ったStrategic-Networking-Proofness、単調性、ある種の独立性とUnanimityで公理化できることがわかった。したがって、注目したい公理によってどちらのルールを採用すべきかが大きく異なることがわかった。