田中辰雄


個人基本情報
氏名:
田中辰雄[たなかたつお]
職位:
准教授
研究室:
tanaka@tatsuo.econ.keio.ac.jp
略歴:
1988年 東京大学大学院経済学研究科修了
1991-95年 国際大学グローバルコミュニケーションセンター研究員
1995-97年 コロンビア大学客員研究員
1998年より 慶応大学経済学部
最終取得学位:
東京大学学士
受賞学術賞:
なし
所属学会:
日本経済学会、情報通信学会、進化経済学会
教育活動
担当科目(2003年度)
[通学課程]
統計学I、統計学II、計量経済学概論、時系列分析、演習、研究会
[通信教育課程]
計量経済学
教育方針:
統計学、計量経済などの計量系は、学問としての側面もさることながら、実際に社会に出てから使う可能性が高い。そこで、実際の計算ができるように演習を入れて使えるようになることを重視している。
統計学I、IIでは、講義中になるべく例題を混ぜ、問題演習プリントとその解答を配り、演習問題を解くことを奨励している。期末テストにはこの配布問題に手を加えた問題を出す。これにより、学生に対し、どこまでできるようになればよいかというターゲットが明示され、また演習問題を解く誘引が与えられる。その代わりテストは分量をかなり多くしてあり、勉強しておかないと点はとれない。
計量経済学概論、時系列分析、演習ならびに[通信教育の]計量経済学では、受講人数が100人以下で少ないので、3回に1回程度、実際のデータを使って統計ソフト(エクセルあるいはTSP)を使った演習を、教室で実施している。これは私自身が学生時代に計量経済学を学んだ際、結局自分でデータと統計ソフトをいじって推定作業をやらないかぎりは、講義内容が身につかなかったという体験にもとづいている。成績は半年に2回程度のレポートを課してそれをもとにつけている。学生とのコミュニケーションの効率化のために、メーリングリストを立ち上げ、事務連絡やレポートについての質問などで活用した。レポートの負荷が重いので途中で脱落する人がでるが、最後までレポートを出せばよい成績がつくようにしている。

研究会はIT(情報通信産業)関係の実証分析に絞っている。これはIT関係ではまだ実証分析が少ない上に学生の身近な素材(パソコン、携帯電話、インターネット、テレビゲーム、映画などメディア)を扱えるため、学生がデータを自分で集めやすいからである。これらの産業のデータはまだ整備されていないので、国会図書館に行ったり、ネット上で探したり、アンケートをしたりしてデータを収集しなければならない。学生自身がこの作業をすること自体に意味がある。また、まだ先行研究が少ないテーマなので、学生であっても新しい発見が可能である。私自身の研究テーマと一致しているので、教える側にとっても誘引になる。なお単位取得には卒論を必須としている。
研究活動
専攻・研究領域:
計量経済学、情報通信産業の分析
現在の研究活動
研究課題名:
ネットワーク外部性の実証と政策的含意
途中経過及び今後の計画:
ネットワーク外部性は需要の側の規模の経済であり、これがあるときはポジティブ・フィードバックが働き、一人勝ちがおきやすいとされる。産業組織論の観点からも、また競争政策の観点からもネットワーク外部性がどれくらい働いているかは興味ある問題である。マイクロソフト裁判はこれが問題になったケースであった。この研究ではネットワーク外部性の実証を行うとともに競争政策上の含意をさぐる。
すでにテレビゲーム機、携帯電話でのネットワーク外部性の実証分析を終了し、論文として発表した。2002年度末には公正取引委員会内の研究グループで海外調査も行った。現在は、パソコン、OS、表計算ソフト、ワープロ、通信機などに対象を移している。本年度中はさらに2本程度の論文を出したいと思っている。競争政策に関する含意は、公正取引委員会の報告書として6月にwebにて公表予定である。
研究課題名:
コンテンツ産業の経済分析
途中経過及び今後の計画:
デジタル化の進展にともない、情報そのものを扱うコンテンツ産業という領域が現れつつある。コンテンツとは、映画・音楽・ゲーム・本などそれ自体に価値がある情報財である。ハリウッド映画がアメリカの大きな輸出産業になっているように、これらも産業としての顔を持つ。従来はあまり経済分析の対象ではなかったこの産業を、あらためて経済学の目で分析しなおそうというのがこの研究の課題である。
すでに1998年より、テレビゲーム産業について、共同研究者である新宅・柳川(ともに東大)両氏と研究を行っており、その成果は2002年度末に本として発表された。現在は、テレビゲーム以外のコンテンツ、特に映画と音楽に焦点をあてて分析を開始したところである。コンテンツ産業は我々になじみが薄いため、まずは関係者のヒアリング調査からはじめ、しだいに理論・計量分析に移っていきたい。科研費と民間の委託研究費がとれたので、今年はそれを使って海外調査など基礎調査を行い、その成果をWorking paperの形で公表する予定である。
主要業績:
単著論文
Tatsuo Tanaka, 1997 "Murakami's Insights for Anticlassical Economics," in Kozo Yamamura eds. A Vision of a New Liberalism? : Critical Essays on Murakami's Anticlassical Analysis ,pp.241-259, Stanford University Press,.
田中辰雄、2003、「ハード・ソフト間のネットワーク外部性の実証」新宅純二郎・田中辰雄・柳川範之編『ゲーム産業の経済分析―コンテンツ産業発展の構造と戦略』第2章、東洋経済新報社
田中辰雄、2003、「携帯電話産業でのネットワーク外部性の実証」 三田学会雑誌
田中辰雄、2003、「モジュール化と長期技術サイクル」 赤門マネジメント・レビュー2(2):55-82 2003.2
共著論文
浅井澄子・田中辰雄、2003、「パソコン市場におけるネットワーク外部性の検証」 Infocom Review 30:29-37
著書
村上泰亮, 西山賢一, 田中辰雄 共著、1994、『マニフェスト 新しい経済学』中央公論社
高木康順, 田中辰雄, 秋山裕 共著、1997 『応用計量経済学〈1〉』多賀出版
編著書
新宅純二郎・田中辰雄・柳川範之編 2003、『ゲーム産業の経済分析―コンテンツ産業発展の構造と戦略』、東洋経済新報社
その他
公正取引委員会委託研究2003『ネットワーク外部性のもとでの競争政策』 2003月6月公開予定
閲覧者へのメッセージ:
なし