難波 ちづる


個人基本情報
氏名:
難波 ちづる[なんば ちづる]
職位:
准教授
研究室:
三田研究室 547B
略歴:
1995年慶応義塾大学経済学部卒業。1997年〜2000年慶応義塾大学経済学部研究助手。2000年慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程満期退学。2000年〜2006年ロータリー財団奨学生、フランス政府奨学生としてリヨン第二大学に留学。2006年博士号取得(リヨン第二大学)。2006年〜2008年 学術振興会特別研究員。2008年4月より現職。
最終取得学位:
歴史学博士(リヨン第二大学)
受賞学術賞:
所属学会:
日仏歴史学会、西洋史学会、東南アジア学会
教育活動
担当科目(2008年度)
[通学課程]
フランス植民地社会史、専門外国書講読(仏)、研究会
[通信教育課程]
教育方針:
フランスが現在抱える、移民問題をはじめとする様々な問題だけでなく、広くフランスの社会や文化を理解するためにも、植民地支配の実態を把握することが不可欠であると考える。「フランス植民地社会史」では、長らく帝国史の支配的な枠組みであった、経済、軍事的側面だけではなく、教育、家族、性、都市、文化、日常生活など、「社会史」が歴史の重要な分析対象として扱ってきた分野を射程にいれることによって、「全体的」な植民地支配の歴史の把握をめざす。「専門外国書講読(仏)」では、フランス語の学術書を正確に読み取り、かつ、そこから発展して、関連する諸問題について、履修者が事前に調べてきて報告し、討論するような場にしたいと考えている。「研究会」では、履修者の興味関心にあわせてテーマを設定し、三田祭にむけて共同論文を作成すること、その後は卒業論文作成を中心的な活動とする。問題設定、資料調査、学術書の講読、討論、論文作成という一連の作業は、将来どの道にすすんでも必要なことであり、研究会の2年間を通して身につけていってほしい。
研究活動
専攻・研究領域:
フランス植民地史
現在の研究活動
研究課題名:
第二次世界大戦後のフランスのインドシナ統治
途中経過及び今後の計画:
第二次世界大戦下におけるフランスのインドシナ統治を、日本軍の駐留を関連させながら研究をしてきたが、その続きとして、日本の敗戦後、フランスがインドシナに再度支配を確立しようとする過程を、第二次大戦期の政策との連続性・非連続性を視野にいれつつ、主に社会、文化的な側面から論ずるため、フランス、ベトナムでの資料調査を行っている。
研究課題名:
東京裁判、サイゴン裁判とフランス
途中経過及び今後の計画:
第二次大戦直後、フランスが「戦勝国」として国際社会に復帰し、かつ植民地支配を存続させるために、日本の戦犯を裁いた東京裁判とサイゴン裁判をどのように位置づけ、それらにいかに関わってきたのかを明らかにするために、フランス、ベトナム、日本における文献や資料調査を行っている。
主要業績:
単著論文
「ヴィシー期・フランスのインドシナ統治をめぐる本国政府と植民地政府」 『三田学会雑誌』  91巻2号、1998年。
「ヴィシー期・フランスのインドシナ統治―対インドシナ認識とインドシナ統治政策の変容−」 『現代史研究』 44号、2000年。
「ヴィシー期・フランスの帝国的結合政策とインドシナの『復権』」 『三田学会雑誌』 93巻2号、2000年。
“Occupation, colonisation et culture en Indochine, 1940-1945 : Rivalite et accommodements franco-japonais ”, these de doctorat en histoire, Universite Lumiere Lyon II, 2006.
「第二次大戦下の仏領インドシナへの社会史的アプローチ―日仏の文化的攻防をめぐって―」  『三田学会雑誌』 99巻3号、2006年。
「ヴィシー期フランスの対インドシナ文化政策」『現代史研究』第53号 2007年。 
“Le Japon face au movement Dong Du” Actes du colloque “Vietnam-le mouvement moderniste” Publications de l’ Universite de Provence, 2008.
閲覧者へのメッセージ:
私の専門はフランス植民地史であるが、植民地支配の問題一般に強い関心を持っている。人やモノだけでなく、文化や技術などあるゆる事物の移動を伴う植民地支配が生み出す、多様で複雑な現象や、人々の接触を明らかにすることは、歴史上の問題であると同時に、現代的な問題である。かつて世界第二の規模をもつ植民地帝国を築いていたフランスが、植民地支配に端を発する諸問題に対してどのように向きあっており(あるいは向き合っておらず)、そこでは何が焦点となっているのかを理解することは、かつて同様に植民地を有し、あるいは他の国々を占領していた歴史をもつ国で生活する我々が、どのように過去を認識し、「精算」したらよいのかを考えるうえで、有用な材料を与えてくれるであろう。