松原 彰子


個人基本情報
氏名:
松原 彰子(まつばら あきこ)
職位:
教授
研究室:
日吉研究室
略歴:
1976年4月:東京大学教養学部理科二類 入学
1980年3月:東京大学理学部地学科地理学課程 卒業
1987年3月:東京大学大学院理学系研究科地理学第一種博士課程 修了
1997年4月:慶應義塾大学経済学部 助教授
1998年4月:同学部 教授
最終取得学位:
博士・理学・東京大学
受賞学術賞:
日本地理学会研究奨励賞・1990年
所属学会:
日本地理学会,日本第四紀学会,日本地質学会,日本古生物学会,日本土木学会,日本堆積学会,日本地形学連合
教育活動
担当科目(2007年度)
[通学課程]
「地理学」 「自由研究セミナー」 「経済と環境」 「地誌」「地理学特殊講義I,II」
教育方針:
「地理学(月曜日)」
人類は,長年にわたって,気象災害、地震・火山災害などに見舞われてきた.近年では,これらに加えて地盤沈下や海岸侵食なども,新たな災害として問題になっている.本講義では,災害の原因や実態を解説すると共に,災害と地理的条件(特に地形条件)との関係について考察し,災害予測のための基礎資料を示す.
「地理学(金曜日)」
近年の地球環境問題を理解する上で,広域的な視野に立ち,長時間スケールで自然環境の変動を把握することは,きわめて重要である.本講義では,自然地理学の立場から,第四紀(約170万年前から現在までの最も新しい地質時代)後期における,地球環境変遷を中心にした環境変動の原因と実態を解説する.
研究活動
専攻・研究領域:
自然地理学,地形学
現在の研究活動
研究課題名:
「砂州地形の発達過程における地域性」
途中経過及び今後の計画:
オホーツク海沿岸,東京湾沿岸,相模湾沿岸,駿河湾沿岸において筆者自身が行ってきた完新世(過去1万年間)における砂州地形(砂州および浜堤列)発達の成果を基礎にして,従来の研究成果を加えて,日本の沿岸に普遍的に分布する砂州地形の発達過程における共通性と地域性を明らかにした.今後は,地球上に広く分布する砂州地形(barrier, beach ridge, chenier)の発達過程との比較に基づいて,グローバルな要因(気候変動,海水準変動)とローカルな要因(地形・堆積物供給・地殻変動)が,それぞれどのように砂州地形形成に関わっているかを明確にする.
研究課題名:
「海岸低地における地形発達過程と人間活動との関係」
途中経過及び今後の計画:
海岸低地における地形形成過程の中で,人間はどのように活動の場を拡大していったかを明らかにする.すでに,駿河湾沿岸の低地では成果を得ているが,今後は,調査対象地域を広げて,成果を蓄積する.
主要業績:
単著論文
松原彰子・郭 俊麟・高田佳奈(2007):GISを用いた土地利用変化の解析 ─慶応義塾大学日吉キャンパスを例にして─.慶應義塾大学日吉紀要 社会科学,17号,1-8.

Matsubara, A.(2005):Processes in the Holocene Development of Coastal Ridges in Japan. The Hiyoshi Review of Social Sciences, Keio University,No.15,73-90.

Matsubara, A. (2003):Relationships between Holocene Geomorphic Development of Coastal Ridges and Human Activities −A Case Study of the Coastal Lowlands along Suruga Bay, Central Japan−. The Hiyoshi Review of Social Sciences, Keio University, No.13, 23-40.

松原彰子(2000):日本における完新世の砂州地形発達.地理学評論,73(Ser.A),409-434.

松原彰子(1992):静岡県浮島ヶ原・雌鹿塚遺跡における自然環境と人間活動の変遷.第四紀研究,31,221-227.

松原彰子(1989):完新世における砂州地形の発達過程 ─駿河湾沿岸低地を例として─.地理学評論,62(Ser.A),151-174.

Matsubara, A. (1988):Geomorphic Development of Barriers in the Coastal Lowlands during the Holocene ─A Case Study of the Coastal Lowlands along the Suruga Bay,Central Japan─. Bull.Dept.Geogr., Univ.Tokyo,No.20,57-77.

共著論文
松田時彦・由井将雄・松島義章・今永 勇・平田大二・東郷正美・鹿島 薫・松原彰子・中井信之・中村俊夫・松岡数充(1988):伊勢原断層(神奈川県)の試錐による地下調査 ─過去約7000年間の堆積環境と元慶2年地震の変位─.東京大学地震研究所彙報,63,145-182.

松原彰子・松島義章・石橋克彦・森脇 広・鹿島 薫(1986):伊豆半島西岸松崎低地の完新世における環境変遷.地学雑誌,95-5,23−40.

著書
松原彰子(2006):『自然地理学 ─自然環境の過去・現在・未来』(慶應義塾大学出版会),176p.

町田 洋・松田時彦・海津正倫・小泉武栄編(2006):『日本の地形5 中部』(東京大学出版会),392p.

杉浦章介・松原彰子・武山政直・木勇夫(2005):『人文地理学』(慶應義塾大学出版会),389p.

田辺裕監訳(2003):『オックスフォード地理学辞典』(朝倉書店),380p.(共同編集・翻訳)

田辺 裕・松原彰子共訳(1999):『図説 世界の地理 第8巻 フランス』(朝倉書店), 1154p.

閲覧者へのメッセージ:
日本の沿岸地域を対象にして,過去数万年間に地形や気候などの自然環境がどのように変化してきたかを調べています.今後は,気候環境や地形条件の変化が人間生活に与えた影響と,人間活動が周辺環境に及ぼしていた影響の両面について研究を進めたいと考えています.
「地球が本来持っているタイムスケールの長い環境変動の中で,人為作用に起因する最近数百年間の環境変動は,どのように位置づけられるのか?」という問題に,特に関心があります.講義やセミナーを通じて,この問題を一緒に考えてゆきたいと思っています.